1月28日
2001年1月28日

「滅びることのない言葉」

ルカによる福音書21:29-38


 


 「はっきり言っておく、すべてのことが起こるまでは、この時代は決して滅びない。

天地は滅びるが、わたしのことばは決して滅びない」。主イエスが終末に臨むわたし

たちがどのような希望を持って生きるべきかについて語られた結論は、「滅びる」と

いう言葉を回転軸にして「滅びない」「滅びる」「滅びない」となっています。何が

滅び何が滅びないのでしょう。

 「これらすべてのものが起こるまではこの時代は滅びない」これが第一のことです。

これは、「滅びる」と簡単に言い切ってしまうべきものが「滅びない」という現実が

あることを教えています。不正な王の支配、無意味に見える無難や災害、この時代、

命あるものが経験することは、すべてが過ぎ去って行くということです。しかし、わ

たしたちが終わるべきもの、過ぎ去るもの、滅びるものと考えているものも、主の時

の順序を経なければ「滅びない」と語られているのです。わたしたちがいま生きてい

るのは、このような時です。従って、主の時に身を委ね、この時の意味をしっかりと

とらえつつ忍耐しなければなりません。

 次は「天と地は滅びるであろう」です。ここで、「滅びる」と語られているものの

規模の大きさに注目しなければなりません。「天と地」は不動のもの、変わらないも

のの代名詞であるはずです。仕事、国土、いえ、先祖、伝統、ふるさと、これらは変

わることのない天と地に根ざして多くの人の生き甲斐を与えてきたものでした。しか

し、主イエスは、これも確かに「滅びる」というのです。滅ぶべきものを滅びないと

妄想することによって希望を持つような生き方は、終末の光の中ではその光を反射す

ることはできません。

 第三は「わたしのことばは決して滅びない」です。ここで「滅びない」のは「こと

ば」という目に見えない、風のように消え去ってしまう何の実体もないようなもので

あることは興味深いことです。主イエス・キリストのことば、それはただ主が語られ

たことばだけでなく、主の生と死、復活の全体が「ことば」です。このことばだけが、

天と地が滅びても滅びることはないと・・・。このことばが天と地をつくり、このこ

とばが光となって暗闇を照らします。わたしたちが確かに持っているのは「この時代」

でも、「天と地」でもなく、ただこの「ことば」だけです。わたしたちはいま「こと

ば」である主イエス・キリストを知っており、交わりを持っています。この滅びない

ことばを。



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