12月30日
2001年12月30日

「アンティオキアの教会に学ぼう」

使徒言行録11:9-30


 み言葉はわたしたちの教会の歩みを照らす光としてアンティオキアの教会のことを

よく学ぶようにと奨めています。シリアのアンティオキアは当時グレコ・ローマン社

会でローマ、アレキサンドリアに次ぐ第三の国際的な大都市。エルサレムを母とする

教会は、大きく発展してこの地に拠点を持つことになりますが、この教会のあり方は

世界の教会の原型となるべきものです。

 まずこの教会の起こりは、ステファノの迫害によって散らされていった人々が福音

を大胆に宣べ伝えることによって建てられた旅人の教会です。はじめは「ユダヤ人以

外のだれにもみ言葉を佳あら無かった。しかし、彼らの中にキプロス島やキレネから

来た者たちがいて、アンティオキアへ行き、ギリシャ語を話す人々にも語りかけ、主

イエスについて福音を告げ知らせた」と記されます。ここでは、ユダヤ人以外のキリ

スト者が例外的に存在するというのではなく、異邦人とユダヤ人が共同して教会を形

成しています。このように主イエスについての福音は語り伝えるべきだと考え、その

ことを実践するために、この離散のユダヤ人キリスト者たちがどれほどの意識の壁を

乗り越えなければならなかったかは、すでに学びました。しかし、ここではもう当然

のようにそうしています。主イエスの福音の本質を聖霊の働きによって体験させられ

た者の当然の意識が、ここからさらに、もっと広い世界に伝道しなければならないと

いう使命を自覚させ、バルナバとパウロを伝道旅行に送り出す基地への働きとして展

開していきます。アンティオキアの教会はこのような伝道を展開する教会です。

 この教会の構成を見てみると独特のバランスによって保たれていることが分かりま

す。ユダヤ人と異邦人との異人種の人々の集まり、また、ここにエルサレムから遣わ

されてきたバルナバや彼がタルソまで出かけて探し出してきたパウロのような人物、

初期の伝統を次ぐ人と新しい人、保守と革新。教会でなければ出会いようのないまこ

とに多様な人がここに集まって、調和しバランスを保って主の体を形成しています。

 また、この生まれたばかりの教会は愛の業についても敏感でかつ迅速な働きを展開

しています。ユダヤに住む兄弟たちが飢饉で苦しんでいると聞くや、ただちに援助の

品を送ることに決め、バルナバとサウロに託してエルサレムの長老たちに送っている

のです。信仰と行為のバランスのとれた姿です。若い教会の福音に根ざした生き生き

とした姿が目に浮かぶようです。わたしたちの教会はこのアンティオキアの教会を母

教会として持っています。


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