箴言8.12-21;ローマの信徒への手紙8.1-11
わたしたちは「聖霊を信じます」、と告白しますが、その聖霊は「主であり、命の 与え主」として働き、わたしたちと関わってくださるということをニケヤ信条は明ら かにしています。三位一体において働かれる聖霊は、何よりも、生きることに関わり、 活かす方として働かれます。どのようないのちの力を聖霊は現されるのでしょう。そ のことを確認しましょう。 わたしたちの礼拝は「主イエス・キリストの恵、神の愛、聖霊の交わりがあなたが たにありますように」という祝福の言葉によってはじまり、また終わります。これは、 主イエス・キリスト、父なる神、聖霊によって与えられるすべてのものがあなたがた のものとなるように、ということですが、「聖霊」は「交わり」を与えると語られる のは何故でしょう。キリストの恵み、神の愛は、別々のものではありません。それら が聖霊によってわたしたちの中に恵のたまものとして注ぎ込まれ、わたしたちの中で 恵に応えて生きようとする思いがおこり、キリストの愛がわたしたちの中でも実りを もたらすような交流が起こります。聖霊が働くところではそのような新しい命の交わ りがあります。その意味で、聖霊はわたしたちの中で働く神、もっとも身近な神とい うことになります。聖霊の神学者といわれたナジアンゾスのグレゴリウスは、「旧約 聖書は御父を明確に、御子を漠然と知らせました。新約聖書は御子を明らかにし、聖 霊を垣間見させました。今や、聖霊はわたしたちの間ではっきり認められ、わたした ちにご自分を明らかに示されます。」と語りました。このような聖霊のわたしたちの うちに起こしてくださる命の交わりについて知ることが大切です。 ローマの信徒への手紙8章には、命の交わりをもたらす聖霊の働きについて、驚く べき深さで語っています。例は、神の霊、キリストの霊、キリストと言い換えられて いますが、「キリストがあなたがたのうちにおられるならば、体は罪によって死んで いても霊は義によって命となっています。」「もし、イエスを死者の中から復活させ られた方の霊があなたがたのうちに宿っているなら・・・あなたがたの死ぬはずの体 をも生かしてくださるでしょう」と。聖霊が与える命は、この罪と死の法則の中にい る「死ぬはずの体」をも生かす働きをします。聖霊はそのような命を与える方として、 わたしたちの主です。