エフェソの信徒への手紙1章7−10
エフェソの信徒への手紙の冒頭にある長い神への感謝のことばから、その感謝の 第三点はキリストによって無条件に罪の赦しを受け、贖われたものに与えられてい る特別な使命に関わることです。「神はこの恵みをわたしたちの上にあふれさせ、 すべての知恵と理解を与えて、秘められた計画をわたしたちに知らせてくださいま した。・・・時が満ちるに及んで、救いの業が完成され、あらゆるものが頭である キリストのもとに一つにまとめられます・・・」。わたしたちの礼拝の目的、教会 の集まりの目指すところ、わたしたちの生涯の意味は、「天にあるものも地にある ものも、すべてのものが頭であるキリストのもとに一つにまとめられる」という大 目的のためにある、というのです。この「一つにまとめられる」と訳された言葉は、 「一つに集められる、まとめられる」という意味にとるべきか、「刷新される、回 復される」という意味に取るべきかをめぐって議論があります。両方の意味を含み うるということです。違いや差異を度外視して一つにされることは、弱いものや不 正義の中で苦しんでいるものには耐え難いことです。「キリストのもとに一つにま とめられる」ということは一つ一つの回復と刷新を含んでいます。また、この「一 つにまとめる」と訳されたギリシャ語は「あたま」という言葉を含んでいて、キリ ストが権威あるものとしてすべての支配や権威、権力を足の下に従わせることによ って、という権威ある王としてのキリストのイメージが強く表されています。しか し、すべてのものの上に権威を持っておられ、すべてのものを支配したもうキリス トは、ご自分の血を流して罪あるもののためにとりなしをし、ご自身のへりくだり によって敵意という隔ての中垣を取り払ってくださったキリストでもあります。天 にあるもの天にあるすべてのものの和解は、このような「僕のキリスト」と「王の キリスト」によって達成されます。 不満と敵意の虜であるわたしたちのために、キリストの恵みが立ち向かってきて、 ご自身の血によって贖い、罪をゆるしてくださったのです。このキリストの恵みに あずかったものは、さらに知恵と理解を与えて、わたしたちに示された恵みは天と 地にあるすべてのものの和解という大目的が実現されるその一環であることを知ら せてくださったのです。このことを感謝することができるようになると、確かに、 わたしたちの今日の歩みはどこにあるのかを確定することができますし、またどこ に向かうべきかも明らかです。この感謝にわたしたちも心を合わせましょう。秋山牧師の説教集インデックスへ戻る