10月23日
2005年10月23日

「エトロの訪問」

出エジプト記18:1-12;マタイによる福音書 3:13-17


 神の山ホレブに宿営をしていたモーセのところに、ミデアンの祭司でモーセのしゅう

とエトロが、先に帰していたモーセの妻チッポラと二人の息子ゲルショムとエリエゼル

を連れて会いにやっていきました。「神がモーセとその民イスラエルのためになされた

すべてのことを聞いた」からです。モーセとエトロのこの邂逅、それは単に一つの家族

の出来事としてだけでなく、神の民が形成されるための一つの大切なステップとして意

義があると考えます。

 モーセにとってミデアンの祭司エトロは、しゅうとであるだけでなく、荒れ野の学校

におけるモーセの指導教師だったでしょう。モーセが神からの召し出しを受け、大きな

使命をいただいてエジプトに帰っていった時、「無事に行きなさい」と娘も孫も共に快

く送り出したのは、モーセに起こったことの意義を深く理解することなしには起こりえ

なかったことです。そして今、大きな仕事を成し遂げて荒れ野に帰ってきたモーセに会

いに来ています。モーセは、「出てきてしゅうとを迎え、身をかがめて口づけした。彼

らは互いに安否を尋ねあってから天幕に入った。モーセはしゅうとに、主がイスラエル

のためにファラオとエジプトに対してなされたすべてのこと、すなわち、彼らは途中で

あらゆる困難に遭遇したが、主が彼らを救い出されたことを語り聞かせた。」このよう

な言葉によって生き生きとその情景が浮かび上がってきます。エトロとモーセの邂逅に

おいてなされたことは何か、それは、簡単なこと、それぞれのシャロームを尋ねること、

そして、聞くことと語ることです。主がなされたことを語り、その救いの出来事を深く

聞いて共感し、感動し、ともに主を讃美すること、そのような交わりを持つことです。

モーセはここから出て、またここに帰ってきました。その間にあったことをかたり、ま

た聴く、この交わりがあることによって、神の民の歴史が確かに形成されているのに気

づきます。この交わりがあって、また新しい歴史を形成することに向かって歩み始める

ことができます。

 エトロがしたもう一つの大切な仕事は、モーセとイスラエルの民とともに主を礼拝す

ることへと導いたことです。主を讃美し、主の働きを物語り、犠牲をささげて食事を共

にする、その内容は、今わたしたちがしている礼拝の基本要素と同じです。この交わり

とこの礼拝が主の教会を形成するのです。


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