11月26日
2006年12月17日

「愛によって、お前を新たにし」

ゼファニア書3:14-20;ルカによる福音書1:5-25


 神の国の到来を告げる救い主の誕生を心から喜び祝うためには、わたしたちも旧約

の民と共に、み言葉によって道備えされなければなりません。ゼファニア書の中にも、

御国の到来を告げる預言の言葉があります。

「娘シオンよ、喜び叫べ。イスラエルよ、歓呼の声を上げよ。主はお前に対するさば

きを退け、お前の敵を追い払われた。イスラエル王なる主はお前の中におられる」

このような喜びの声を上げるようにと促す言葉の中で、次のように語られるのです。

「主はお前のゆえに喜び楽しみ、愛によってお前を新たにし。お前のゆえに喜びの歌

をもって楽しまれる。」

 ゼファニヤという預言者ほど激しくイスラエルの罪を糾弾し、神の裁きの近いこと

を告げた人はまれです。「自分のほかに人はいない」という人間の誇りが、いかに世

界全体を荒廃させたかを語るその口調は、まさに現代の世界を糾弾する言葉のようで

す。この罪のもたらす結果は、「わたしは地の面からすべてのものを一掃する」、

「地上はくまなく主の熱情の火に焼き尽くされる」ことを告げるのです。

 ところが、その激しいさばき、滅びの只中に、「苦しめられ、卑しめられた民」

「残りの者」があり、その民に向かって、先の「喜べ、歓喜せよ」のすすめが語りだ

されます。そして、「喜べ」と命じられるのは、「主がお前の中におられ、さばきを

退け、...主がお前のゆえに喜んでいる」からだというのです。その中心に「愛に

よってお前を新たにし」と言う言葉があります。「新たにする」と言う語は、ヘブル

語原典では「沈黙する」と言う言葉が使われていて、不思議な感じがしますが、大変

深い意味が込められています。愛による沈黙、その沈黙の中で何が行われたか、そこ

に主イエス・キリストの全生涯を投入して考えると、驚くべき現実性が現われてきま

す。滅びるほかないものが、主の愛の沈黙から喜びの歌に変えられてゆくその主の思

いはからいによって、人間の側にも喜びと歓喜の叫びがあげられることになるのです。


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