民数記26:51-65 ペテロの手紙一1:3-9
民数記26章にはイスラエル12部族の数が記されていて、1章と同じ構造です。 「民数記」というこの書の表記は、二度も民の数が記されているところから来ていま す。最初のときはシナイの荒れ野で、カナンに向かって出発するとき、ここではカナ ンの地を目前にしてモアブの地で民の数が数えられます。この数字の羅列から、いく つかの大切なことが読み取れます。 まず、第1回の人口調査と第2回の調査では少し目的が違っています。最初は、 「イスラエルの人々の中から兵役に就くことができる20歳以上のものを部隊に組ん で登録する」と言うことが目的でした。第2回目は、これから侵入してゆくカナンの 地での嗣業地を決めるための人口調査です。「人数の多い部族には多くの、少ない部 族には少しの土地を分け与えなさい」と言う平等の原則と「土地はくじによって分配 される」と言う神意による分配の原則とが混在しています。主が確かに約束の地に導 いてくださり、その計画は前進していることがこの人口調査によって示されています。 第2に、人口の移動に目をとめると、興味深いことに最初の民の数は603,550人で あるのに対し、2回目は601,730人で、大きな変化がないのです。この間40年、荒 れ野の旅のなかで、人々はいつも主に向かって不満を述べていました。ここで死なせ るために、われわれをエジプトから導き出したのか、と。命を支えるものに乏しい 40年の旅の中で、世代が交代してもその数がほとんど同じ。まさに主の支えです。 第3に、第1の世代はわずかな例外を除いて荒れ野で死に絶え、新しい世代の数が ここに数えられている、と言う厳粛な事実が明らかにされていますが、そこで第1の 世代から第2の世代に約束を受け継ぐ希望の継承が行われていることも意義深いこと です。第1の世代は、希望なしに荒れ野で死んだのではありません。次の世代は確か に希望を受け取って約束の実現に向かって進んでゆくのです。教会の歩みのありよう です。