8月19日
2007年8月19日

「 所有のための戦い、約束のための戦い 」

民数記32:20-42 ルカによる福音書17:11-19


 ルベン族とガド族のものが「わたしたちにヨルダン川を渡らせないでください」と

申し出たことによって、これまで共にエジプトを出て40年の旅をしてきた共同体が

分裂と崩壊の危機に瀕しましたが、モーセが神の激しい憤りを思い起こさせることを

通して、ルベンやガドの人々を翻意させました。モアブの地で石垣を築いた後、「イ

スラエルの人々の先頭に立って進み、イスラエルの人々が嗣業の土地を得るまで家に

は決して戻りません」と、責任の自覚へと立ちもどることになったのです。モーセは

語った通りのことを実行するようにと勧め、また共同体の他の部族の者たちにはルベ

ンとガドの人々の領地をヨルダンに東にすることを納得させました。さて、このよう

にして約束の地を受け継ぐためにヨルダン川を渡る体制が出来ましたが、この部隊の

戦意や戦力を分析すると、そこには戦いに向かうもの同士の間に大きな違いがあるの

に気付かされます。ルベンやガド、それにマナセの半部族のものたちは、もう既に領

地を得、妻子や家畜財産を後に残して戦いに出ることになります。彼らの戦いは責任

を果たすための戦いです。他方、他の諸部族はこれからヨルダンを渡って戦い取る土

地が自分の所有になるわけですから自分の生活をかけた戦いになります。このように

まったく違ったモチベーションのものが混在していることになります。このような状

況を考えると、これはわたしたちの日常の状況に近づいてきます。伝道をするにして

もモチベーションの持ち方にはずいぶん違うものが共同しなければならないのです。

興味深いことに主なる神は、このような混在状況をよしとされて、この民を約束の地

に導いておられるのです。これほどに戦意において差があるものが、どうして一つに

なることが出来るのか、その秘訣は、それぞれが自分の領地を獲得するのではなく、

主が敵を追い払ってくださり、主が征服して土地を与えてくださる、主の戦いに参加

させられていることに向かって心を一つにすることです。


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