ダニエル書12:1-4 マルコによる福音書13:14-31
聖書には黙示文学と言われる独特の文学形式があります。世の終わりのさまざまな 事象を告げるものですが、主イエスご自身も黙示的な言葉を語られたことが福音書に 記されています。わたしたちは終わりがあるということは知っていますが、いつどの ような終わりが来るのか確かなことは分かりません。その終りを見極める見極め方が 語られていますので、ある人にとっては不安をかきたてられること、また別の人には 馬鹿げたあり得ないこととなりがちです。しかし、これらのことばを通して、主が支 配する世界の中で、どのように希望を持って生きるかが教えられているところをよく 聞きとりたいと思います。 マルコの小黙示の前半は終わりのように見えて終わりではないことが語られていま したが、後半では終わりの終わりのことが語られています。「憎むべき破壊者が立つ べきでない所に立つのを見た時は・・・」このような出来事に続いて、「神が天地を 造られた創造の日のはじめから今までになく、今後も起こらないような苦難が来る」 と言われます。「憎むべき破壊者」の出現のことは旧約聖書のダニエル書に出てくる 言葉で、ペルシャ王アンティオコス・エピファネスによってエルサレム神殿が破壊さ れけがされた出来事と関連すると言われている言葉ですし、またAD70年のローマによ る神殿破壊とも関連すると言われますが、しかし、ここで言われていることはそのよ うな既に起こった歴史的な破局のことをはるかに超える出来事があることを告げてい ます。そのような事態に対応できるのは、「主が前もって語られた言葉」をしっかり と聞いて気をつけていることだけです。 次に展開されるのはもっと大きなスケールで起こる終極の事態です。太陽は暗くな り、月は光を放たず、星は空から落ち・・・。」 一つの命、一つの社会、一つの国の滅亡をはるかに超えたすべてのものが絶え果てる ような終わり、「その時、人の子が大いなる力と栄光を帯びて雲に乗ってくる・・・」 終わりの終わりにおいて主イェス・キリストの再臨が語られ、そこですべての選ばれ た人々を呼び集めるという終局のメッセージが語られます。終りが新しいはじめとな るのです。