1月31日
2010年1月31日

「 ヨ ナ の 説 教 」

ヨナ書3:1‐10 ルカによる福音書11:29 - 32


 魚の腹の中から、陰府の底から、ふたたび生きる者の地に呼び戻されたヨナは、主

の言葉を告げるためにニネベに行き、主が語られるとおりの言葉を告げました。「あ

と40日すれば、ニネベの都は滅びる。」原語にするとたった5文字の、世界で最も

短い説教、しかも、その言葉には、慰めも、救いの道も、何を根拠にそういうのかも、

何も語られていません。ただ、滅びと猶予期間が示されているだけです。にもかかわ

らず、この説教がニネベの人々にもたらした結果は驚くべきものでした。12万人も

の人が、王さまから民衆にいたるまで、いや、家畜でさえも、断食をし、粗布を身に

まとい、主の前にひざまづいて悔い改め、正しい生活にたち帰ったというのです。主

なる神の前から逃げ出してタルシシュに行こうとしたような、反抗と挫折の預言者ヨ

ナを、主なる神は豊かに用いられます。

 ニネベの人々に迫りくる滅びの警告の言葉を語ったヨナ、その言葉を聞いて悔い改

めたニネベの人々、この出会いには、神の言葉を語り、また聞くことの原風景が映し

出されています。神の言葉を語るヨナは、「わたしがお前に語る言葉を告げよ」と命

じられて、その通りの言葉を告げているのです。何の粉飾もなしに。それを聴くニネ

ベの人々は、ヨナの言葉を聞いているのではなく、主なる神の言葉を聴き、その片言

隻句ではなく、神の存在そのものと向き合わされているのです。神の存在から遠く、

その悪が神の前に立ち上るほどのニネベの人々といえども、神に造られた人間は、創

造者の言葉を聴く耳を持っています。回心の様子もまた、人が神の言葉を聴いて立ち

帰る原風景を映し出しています。王は玉座から降り、粗布を身にまとい、断食する。

人間的な誇りと権威を捨てて、主の前にひざまづく。そこから更に、人々にも布告し

断食を呼びかけます。罪の告白は一人だけに終わるものではなく、連帯性の中に生き

ています。都全体が共に罪の告白をする必然性を抱えています。「神は彼らの業、彼

らが悪の道を離れたことをご覧になり、思い直され、宣告した災いをくだすのをやめ

られた。」今の時代は、ニネベの人々のように主の言葉に出会っているか、と問われ

ます。

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