6月13日
2010年6月27日

「 王の夢―パートU 」

ダニエル書 3:31-19 マタイによる福音書 13:31-35


 ネブカドネツァル王は再び夢を見て、このたびもダニエルにその夢の解き明しを求

めます。その夢は、大地の真ん中にそびえたつ巨樹、その梢は天にまで達し、葉も枝

も大きく広がり青々と茂り、その下には野の獣がやすらい、その枝には空の鳥が巣を

造る。すべての生き物は、この木を中心に、この木のおかげで生きています。しかし

王の夢は、ここで終わりません。見張りの天使の大声が響き渡ります。「この木を切

り倒し、枝を払い、葉を散らし、実を落とせ。その木の陰から獣を、その枝から鳥を

追い払え・・・。」大きく、強く、世界の中心であった巨樹は根だけが地中に残され

て鉄の鎖青銅の鎖につながれて7つの時を過ごす。確かに何とも気になる夢であるに

違いありません。ダニエルの夢の解き明かしを待つまでもなく、その意味するところ

は明らかです。「王様、その木は、あなた御自身です。これはいと高き神の命令で、

わたしの主君、王様に起こることです。・・・」

 ネブカデネツァル王が見た巨樹の夢は、わたしたちが誰でも夢想し追い求めている

自己イメージそのものではないでしょうか。世界の中心で、天にまで達する高み、た

くましく美しく、多くの実を結び、多くの者に恵みを施し、世界の果てからも仰ぎみ

られ、心安らかに繁栄している、そこにこそ、わたしたちの生きがいがあり、生きる

に値する姿がある、と願うのです。しかし、万人のこの巨樹へのあこがれに対して、

天からの声は、そこに人間の高慢があり、打ち砕かれるべきものであることを明らか

伝えています。「見張りの天使」は、そのようなわたしたちの高慢について目覚めさせ

る者、聖なる者、神の御旨を告げる者です。ダニエルの王に忠告する言葉、「天こそ

まことの支配者であると悟れば、王国はあなたに返されます。・・・罪を悔いて施し

を行い、悪を改めて貧しい人に恵みをお与えになって下さい。そうすれば、引き続き

繁栄されるでしょう」は、現代にも通じる警告です。今声高に叫ばれている世界の中

心にそびえたつ平和と安全な国を目指すことは、その高慢と独善によってやがて切り

倒されます。そのような国になることではなく、まことの造り主の支配を世界に行き

渡らせるために仕える政治こそが求められているのです。

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