12月1日
1996年12月1日

「虹−契約のしるし」

創世記9章1−17


 洪水を経験したノア、天が落ちて崩れてくるような、地の底が割れて深淵の中に

飲み込まれてしまうような神の裁きを目の当たりにしたノアのような人は、それ以

後どのようにして生きるのでしょう。恐れおののいて神の前に生きるのか。聖書が

語るノア以後の人間のありようは、ノアに与えられる契約によってしめされていま

す。それは驚くべきものです。

 神は「人が思い計ることは幼いときから悪い」ことを認めつつ、「産めよ、増え

よ、地に満ちよ」と祝福され、二度と再びノアが経験したような洪水、混沌と闇が

支配してしまうようなことはしないと約束され、虹を契約のしるしとして示された

というのです。堕落以前の人間に与えられたのと同じ祝福が与えられているのです。

洪水以後の時代は神の忍耐と寛容の時代、裁かれるべき人間であるにもかかわらず、

神は神の業の要求を控えて、裁くことを耐え忍んでおられる時代です。人間の歴史

はまさにそのようなものだと思わざるをえません。神のようになろうとして、人間

のあるべき線を乗り越えて、僭越に振る舞っていることがどれほどの悲惨を今も繰

り広げていることか。

 人間に対するような偏った祝福は被造物の世界に悲惨な影響を及ぼしています。

神は、人に生き物の命を取って食べてよいと許容します。生き物は人に対して恐れ

おののかなければならなくなっているのです。生き物の命を絶って、それを食べる

ことによって自らの命を養うこと、これは当然のことではありません。人間の内に

ある悪を神は寛容と忍耐を持って耐え忍んでおられることによって生じる結果です。

わずかに、生き物の命の源が何であるかをおぼえるために、生き物の血は食べては

ならないと制限され、また、人の命を取ってはならないと禁止されるだけです。ノ

ア以後の時代は被造物のうめきの時代、真の平和と和解を求めて、神の子の出現を

うめきながら待ち望んでいる世界です。

 主イエス・キリストによって与えられた新しい契約はノアの契約を更新するもの

です。神の御子がご自身の血を流し命を与えてくださって、罪のあがないを成就し

てくださったことの波及効果は、すべての人に及ぶだけでなく、天にあるもの、地

にあるものすべての待ち望んでいることです。主イエスによる和解は小さな命にも

福音であることを知っているわたしたちの生き方はどのようであるべきでしょう。

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