5月13日
2012年5月13日

「 子への勧め、親への勧め 」

箴言 3:1-12 ; エフェソの信徒への手紙 6:1-4


 「子どもたち、主に結ばれている者として両親に従いなさい。…父親たち、子ど

もを怒らせてはなりません」

 新約聖書には、親子の関係についての教えているところは多くありませんが、エ

フェソの手紙には上記のような教えがあります。キリストによって新しくされた者

がこの世の関係において生きる生き方を教える教えの中で、十戒の第五戒、「あな

たの父と母を敬え」に基づいて簡単に述べられています。

 「主に結ばれている者として両親に従いなさい」ということは、親子の自然の関

係や力関係によって子は親に従うべきだというのではない、別の規範があることに

気づかされます。すなわち、主イエス・キリストによって「敵意と言う隔ての壁を

取り壊し、双方をご自分において一人の新しい人に造り上げて平和を実現してくだ

さった」主イエス・キリストに結ばれたものである故に、両親に従うという生き方

が生まれるのです。確かに、親子の間にもキリストの贖いと執り成しがなければ、

自然の情愛だけで平和の関係を持続させることにつまづいている多くの関係があり

ます。

 十戒の真ん中に位置する「あなたの父と母を敬え」と言う戒めは、何故にそうし

なければならないかの理由はなにも記されていません。この戒めは養育中の子ども

に対する戒めではなく成人した人への戒めだと言われます。育ててくれた親の恩が

あるから敬わなければならない、ということではないのです。その後に続く戒めと

同じように、そうしなければならない理由は、ただ神はそのことを求めておられ、

そのように人間を造っておられるということです。しかし、興味深いことに、エフ

ェソの手紙では、「これは約束を伴う最初の戒めです」と注釈が付けられています。

すなわち、「そうすれば、幸福になり、地上に長く生きることができる」という約

束、保証が与えられています。こどもを愛し、大切に育てることが「地上を長く生

きる」上で大切なことであることは誰でもわかりますが、老いた父と母を敬うこと

が幸福の永続性、持続性を保証するものであるというのは意外です。そこに到達す

るには深い知恵が必要です。

 また、聖書は子だけでなく親の責任と生き方についても教えています。子どもが

両親に従うのは、親も双務性のもとにあります。


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