創世記 6:1-22 ; ヘブライ人への手紙 11:7-16
ヘブライ人への手紙は12人の信仰者列伝を記して、信頼しきって真心から神に 近づく生き方の実例を示します。その最初の3人、「アベルはカインよりもすぐれ たいけにえを神にささげ、その信仰によって正しいものと証明されました。」「エ ノクは死を経験しないように天に移されました。移される前に神に喜ばれていたこ とが証明されていたからです。」「ノアは、まだ見ていない事柄について神のお告 げを受けた時、恐れかしこみながら自分の家族を救うために箱舟を造り、その信仰 によって世界を罪に定め、また信仰に基づく義を受け継ぐ者になりました。」これ らの3人の生き方を通して示される「信仰」によって、信仰の独特の相貌が明らかに されています。 カインは土の実りを主のもとに献げ物として持ってきたのに対し、アベルは羊の 群れの中から肥えた初子を持って共に神に感謝し、礼拝をしました。しかし、神は アベルの献げものに目を留められましたがカインの献げ物には目を止められなかっ た。カインは激しく怒ってついにアベルを野に連れ出し殺してしまったのです。ア ベルはどのような信仰を提示しているのでしょうか。これは「土の実り」と「肥え た羊」の献げ物の優劣が問題ではなく、礼拝する者の姿勢の問題、日々の勤労の成 果をどのように捉え、どのような思いで感謝し神への礼拝と結び付けるかが問題で す。アベルの信仰と言うより、自分の献げものに目を留めない神に対して怒るカイ ンの不信仰を通して信仰のあり方が示されます。 エノクは、「3百年間神と共に歩み・・・神が取られたのでいなくなった」と創 世記には記されています。「神と共に歩む」の内容は、「神が存在していることと、 ご自分を求める者たちには報いてくださることを信じていた」、それゆえに神に喜 ばれる生き方をした、というのです。エノクの3百年の歩みは信仰の継続性、断片 的でない持続的な信仰について考えさせられます。 ノアは洪水物語としてよく知られていますが、彼の生きた世界は「主が地上に人 の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのをご覧になって、地に人 を造ったことを後悔し、心を痛められた」と言う世界です。ノアは「主に好意を得 ていた」その信仰は、この世に流されることなく、神を畏れ、戦いの中で、神のみ に聞く信仰でした。洪水を生き延びたのはこのような信仰です。
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