9月16日
2012年9月16日

「 神の都に向かって 」

出エジプト記 19:10-25 ; ヘブライ人への手紙 12:18-29


 ヘブライ人への手紙は、「すべての重荷や絡みつく罪をかなぐり捨て自分に定め

られている競争を忍耐強く走り抜こうではありませんか。信仰の創始者、完成者を

見つめながら」と勧めるところから、さらに、その向かう先はどのような世界であ

るかが明らかにされます。かつてイスラエルの民がモーセに率いられてエジプトを

脱出し、シナイ山で主なる神の語りかけを聞き、十戒をいただい時の経験と対比さ

せて、実に優しさと慰めに満ちたものであることが強調されます。キリスト者に約

束されている終極の情景はどのようなものなのか、希望の形が明らかにされます。

 シナイ山における神との交わりは、雷鳴と稲妻、厚い雲と角笛が鳴り響く中で、

宿営にいた民を恐怖に震えおののかせるものでした。生きた神に近づき、その言葉

を聞くということがどれほどに恐ろしいものであるか、圧倒的な権威の前に立たさ

れる経験をしたのです。圧倒的な権威を持って望む神への恐れと畏怖から生じると

ころの敬虔が旧約の信仰の根底にあるのは確かです。これに対して、キリスト者に

約束されている終極のイメージは、「あなたがたが近づいたのは、シオンの山、生

ける神の都、天のエルサレム、無数の天使たちの集まり、天に登録されている長子

たちの集会、すべてのものの審判者である神、完全なものとされた正しい人たちの

霊、新しい契約の仲介者イエス、そしてアベルの血よりも立派に語る注がれた血で

す」と、9つの表象によって示されます。これらの表象の一つ一つが示している深

く豊かな内容を味わい知ることが大切です。おおまかに3つのグループに分けるこ

とができると思います。「シオンの山、生ける神の都、天のエルサレム」は向かう

べき場所、領域、世界が示されています。地上的なものではなく神の支配する霊的

な世界です。「無数の天使たちの集まり、天に登録されている長子たちの集会、完

全なものとされた正しい人たちの霊」によって、私たちは生けるものの地から断た

れ、孤独な世界に向かうのではなく、大きな集団、天にある教会の礼拝に迎え入れ

られると教えられます。その中心にあるのは「すべてのものの審判者、新しい契約

の仲介者イエス、アベルの血よりも立派に語る注がれた血」すなわち、私たちの罪

を洗い流し贖ってくださるキリストがそこにもおられる、ということです。

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