イザヤ書 54:4-10 ; ヨハネによる福音書 14:1-14
ハイデルベルク信仰問答 問い49:「キリストが天に昇られたことは、わたしたちにとって何の益がありま すか?」 答え:「第一に、キリストは天にあって御父の眼前でわたしたちのために執り成し てくださる方としてそこにおられるということ、第二に、わたしたちの肉体は天に確 かな担保を持つことになったということです。キリストは頭であり、わたしたちはそ の肢体なのですから、わたしたちの体を天にまで引き上げてくださるのです。 第三に、キリストが天に昇られた代わりに、その保証として御霊を天から送って下さ り、その御力によって、地上のものではなく、上にあるもの、すなわち、神の右の御 座にいますキリストを求めるようになることです。」 16世紀の宗教改革によって、聖書の示す信仰に堅く立つ教会の刷新がはかられま したが、改革者たちが強く意識した信仰の一つはキリストの昇天の意義についてでし た。昇天は神話的な表現ですが、いま生きているわたしたちとキリストとの生きたか かわりの持ち方を明らかにするためには、キリストの昇天によって何がもたらされた のかがはっきりしなければなりません。ハイデルベルク信仰問答は、簡潔に3つの益 を示して、その意義を明らかにしています。罪深いわたしたちのために執り成す方を 天に持っているということ、わたしたちの体の一部はすでに天にあり、やがてそこに 引き上げられる希望を持つことができること、天におられるキリストの存在を心に照 らす聖霊が遣わされてわたしたちの心をキリストのおられる天に向け、この地上の生 活を送れるようになったことです。 新約聖書にはキリストの昇天についての描き方に様々な形があることに気づかされ ます。視覚的に、キリストが天に上げられ雲に包まれて見えなくなったと記すのは、 ルカによる福音書と使徒言行録だけです。パウロの手紙では昇天は復活とはほとんど 同義に扱われていて、キリストを信じることによってわたしたちも復活の力にあずか ることができることが強調されます。ヨハネによる福音書は、主イエス御自身が、 「あなたがたのために場所を用意しに行く」こととして語ります。また、わたしが行 けば「別に弁護者を遣わす」と聖霊の派遣を約束するのです。「昇天」という出来事 によってしめされる神の計画、その信仰の捉え方に広がりがあるのです。
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