4月30日
2017年4月30日

「品位ある生活によって主に仕える」

ホセア書 2:18-22 コリントの信徒への手紙一 7:32-40


 レントからイースターをおぼえる礼拝から再びコリントの信徒への手紙一の講解に

もどります。コリントの教会の様々な牧会的な課題から、この手紙の七章では結婚や

男女の関係をめぐって、キリスト者としての生き方が取り上げられています。キリス

ト者は結婚することが許されるか、離婚することはどう考えるべきか、性の交わりは?

と、教会ではタブー視されていると見られる問題が正面から取り上げられています。

これらの問題をパウロが扱う場合に一貫している特徴は、キリストはこのように命じ

ていると、上からの指示としてではなく、それぞれの決断にゆだねているということ

です。「人はそれぞれ神から賜物をいただいているのですから、人によって生き方が

違います」と違いとそれぞれの決断の自由の領域を認めたうえで、パウロ自身の見解

を述べているのです。今一つの特徴は、結婚や職業の選択、それぞれの社会的な身分

は人の一生にとって決定的に重要なことですが、パウロは、これらのことを終りの日

から捉えなおして、結婚にしても男女の交わりにしても、過ぎ去ってゆくもの、永遠

に続くものではないと捉えていることです。「兄弟たち、わたしはこう言いたい。定

められた時は迫っています。今からは妻のある人はない人のように、泣いている人は

泣かない人のように、喜ぶ人は喜ばない人のように、物を買う人は持たない人のよう

に、世の事に関わっている人はかかわりのない人のようにすべきです。この世の有様

は過ぎ去るからです」と印象深い言葉が語られているのです。

 パウロ自身は独身生活を勧めており、これがローマ・カトリック教会などでは司祭

は独身であるべきだとの教会の制度になっていますが、パウロが語っているのは、独

身生活を続けるにしても、相手の女性に心を惹かれて情欲にとらわれ自分を抑制でき

ないと思ったら結婚をしてもよい、どちらでもよい。夫と死別したら同じ信仰のもの

と再婚しても良いと、厳しく規制的になりがちのこの問題に対して、それぞれの個性

と状況の違いを認めているのです。要するに、「決してあなたがたを束縛するためで

はなく、品位のある生活をさせて、ひたすら主に仕えさせるため」の助言として語ら

れています。

 キリスト者がこの世の過ぎ去ってゆく関係の中で生きるときに、変わることのない

基本の生き方は何か、それは、この章の直前に語られたこと、「あなたがたの体は、

神からいただいた聖霊が宿ってくださる神殿であり、あなたがたはもはや自分自身の

ものではないのです。あなたがたは、代価を払って買い取られたのです。だから、自

分の体で神の栄光を現しなさい」に尽きます。


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