5月20日
2018年5月20日

「聖霊降臨」
久保島 理恵 牧師   創世記 11:1-9 使徒言行録 2:1-13


 バベルの塔の話は今日の世界に重なって見えます。科学技術の進歩は、確かにわた

したちの生活を豊かに便利にしてくれますが、その一方で「何でもできる」という万

能感が人間に神さまを忘れさせるという誘惑ももたらします。石の代わりにれんがを、

しっくいの代わりにアスファルトを用いることができるようになった人々は、神さま

の領域である「天」まで届く塔のある町を建てて、有名になろうとしました。それは

神さまを見失い、自ら神になろうとした傲慢な人間の姿でした。しかしそれを神さま

が見逃すはずがありません。人々の企ては、神さまの介入で頓挫します。

 ここで神さまは言葉を混乱させるという方法を取られました。人間にとって言葉は

重要です。言葉によって互いに理解し合い、相手を人格的存在として受け止めます。

だから言葉が混乱して機能しなくなると、人格的な関係が築けなくなります。人を人

として見られなくなってしまうのです。これは人間の本質に関わる重大な事態です。

そしてこの状況もまた、わたしたちの生きる現代の世界に重なります。今、世界は分

断され、人々は孤立しています。

 神さま抜きで事を進めようとする人間の企ては必ず失敗します。しかし人間的にど

んなに難しいことも、神さまに不可能はありません。ペンテコステは教会誕生のとき

です。この出来事は、わたしたちに一つのビジョンを見せます。聖霊なる神さまに導

かれた弟子たちを通して、実に多種多様な人々がキリストを知り、信仰を告白しまし

た。これはキリストによる一致のビジョンです。教会は、キリストの血によって贖わ

れたこと、罪を赦されたことを知っています。ですから全ての根拠をキリストの十字

架と復活におき、キリストにおいてのみ一致するのです。それゆえ教会は、この世に

ありながらキリストのからだとして神さまに属するものとして存在し、キリストによ

る赦しを指し示します。

 だからわたしたちにはこの世に福音を伝える使命があります。御子キリストが人と

なってこの世に来てくださったように、聖霊なる神さまが降ってきてくださったよう

に、わたしたちも出かけて行くのです。聖霊なる神さまは、わたしたち一人一人の上

に来てくださる方です。燃え盛る炎の舌のように働いてくださいます。主を信じて、

勇気をもって歩み出しましょう。

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