人生には3つの坂があるとよく言われます。いつも右肩上がりの登り坂を歩いて
ばかりはおれません。必ず、人生の下り坂という時もあるでしょう。人は上ったり
下ったりしながらなんとか自分の道を歩んで行く者でしょう。しかし、もう一つの
坂があると。それが『まさか』という坂だと!人生には思ってもみなかった出来事
や突然の不幸や災いが起こってしまうものです。そしてその時こそ、その人の実力
やこれまでの生き方が問われます。まさかの時に備えて、あらゆる想定とそれに対
する準備を完璧にして行くことも一つの生き方でしょうが、そんなすべての状況に
備えることは無理でしょうし、備えていてもそれを超えて起こることが『まさか』
でしょう。
この『まさか』に備える生き方があるなら今日の箇所に出てくるパウロの生き方
でしょう。彼は「わたしは何とかして死者の中からの復活に達したいのです」と人
生のゴールを定めています。人生の終着点を見据えて生きる者はたとえ『まさか』
と思うような出来事が起って来てもこれも想定内のこととして受け止めることが出
来るのです。特にパウロはこの世の人生だけでなく、死の向こう側にある「復活
(=キリストと共に生きる時)」を見つめています。故に、今の苦難や迫害を「そ
の(=キリストの)苦しみにあずかって、その死の姿にあやかる」ことだと、ます
ますキリストに繋げられていく道筋だと考えているのです。決して現実から逃げて
いません。その上で「わたしは、既に完全な者となっているわけでなく、なんとか
して捕えようと努めている」だけなのだと語ります。生涯、復活というゴールを目
指して、ただ前向きに生きて行くことだけだと。この堅固な求道精神こそ『まさか』
を受け止め、超えて生きる力の源です。
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