今日の箇所には伝道者としてよりも、一人の信仰者としてのパウロの拠って立っ
ていた信仰がよく現されています。その一つが「わたしたちの本国は天にあります」
です。原文をそのまま訳すると「私たちの市民権は天にある」という言葉になりま
す。フィリピに住む人たちは、この街がローマ帝国直轄の植民地であることから、
ローマの市民権を持つことが可能でした。このローマの市民権を持つことは人々の
羨望の的であり何よりのステータスでした。しかしその市民権を持っていたパウロ
が、それよりも天の市民権を持つ方が遥かに素晴らしいと教えているのです。なぜ
なら「卑しい体を(イエス様と同じ)栄光ある体と同じ形に変えてくださる」から
だと。復活の新しい命に生きることが待っているからと。私たちはこの世だけで終
わらないのです。
これに加えてもう一つ、パウロを支えていた信仰が「そこ(=天)から主イエス
・キリストが救い主として来られるのを、わたしたちは待っています」です。物事
の決着はこの世が定めるのではなく、イエス様が再び来られてすべての事に決着を
つけられるのだと。故にイエス様の示される生き方に沿って生きて行くべきなのだ
と教えてくれています。
その上で「兄弟たち、このように主によってしっかりと立ちなさい」と励ますの
です。ここで大事なことはあくまでも「しっかりと立つ」場所は《この世》なので
す。この世でしっかりと信仰に立って生きて行くために、@天の市民権が与えられ、
A復活の命が約束されているのだと言われているのです。
「しっかりと立つ」とは、揺るがないという意味と自立するという意味があります。
誰にも寄りかからないで生きて行くためには、実はしっかりとした土台に立つこと
が必要なのです。キリストという土台にしっかりと立ってこそ自立できるのです!
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