フィリピ教会はパウロの伝道活動を経済的にも支えた良い群れでしたが、教会
の中に問題がなかった訳ではありません。それが今日の箇所に出てくる信徒同志
の仲違いでした。即ち「エポデイアに勧め、シンテイケに勧めます。主において同
じ思いを抱きなさい」です。二人とも女性の信徒であり、しかも「二人は、クレ
メンスや他の協力者たちと力を合わせて、福音のためにわたしと共に戦ってくれ
たのです」でした。いわば二人ともフィリピ教会の創立メンバーであり、教会を
背負う柱となって来た仲間でした。ところが、その理由や原因は書かれてありま
せんが、教会の中で対立し、お互いに一歩も引かない状況に陥っており、パウロ
にアドバイスが求められたのでした。
ここでの「同じ思いを抱きなさい」は原文では(お互いに同じ事を考えなさい)
という意味であり、必ずしも全く同じ考え方や感情までも同じにせよという意味
ではありません。むしろ、各々違いがあってもいいから、同じ考え方、一つの目
的意識を共有して欲しいという意味です。それは福音を宣べ伝えていくことに違
いないでしょう。そのためなら相手の気に入らない所も足りない部分も傲慢さも
乗り越えられるはずだからと。このパウロのアドバイスは私たちにも通じる教え
です。
そして更に「なお、真実な協力者よ、あなたにもお願いします。この二人の婦
人を支えてあげてください」です。この「協力者」とは(同じ任務を負う者)と
いう意味で、この時フィリピ教会を牧会していた責任者です。二人を裁くのでは
なくて「支えてほしい」と。これ程の仲違いをしてしまった二人はきっと教会の
中での居づらくなっていたことでしょう。どっちが正しいとか二人ともを責める
のでなく、教会での二人の居場所を作ってあげて欲しいと。成程と思うアドバイ
スです。
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