今日の箇所に「どんなことでも、思い煩うな」という命令の言葉があります。
そう言われてもあれこれと思い悩み、患うところまで行ってしまうのが私たちで
はないでしょうか。
ただ、パウロはそのような人間の弱さを分かった上でこの命令を敢えて語って
いると言い得ます。なぜなら、この後、思い煩うことのないようにと具体的なア
ドバイスを教えているからです。それが次の「何事につけ、感謝を込めて祈りと
願いとをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。そうすれば、あらゆる
人知を越える神の平和が、あなたがたの心と考えを守るでしょう」と。この言葉
について、ある解説者は≪不安に対する処方処方箋≫と言っています。あれこれ
とどうしても思い煩ってしまいそうな時にはその思いをそのまま神さまに申し上
げれば良いのだと。つまり、その悩みも迷いも「神に打ち明け」、その自分の思
いをそのまま神さまにぶつけなさい、神さまの前でカッコ付けなくてよいのだと。
そうすれば必ず神さまが「あなたの心と考えを守って下さる」と。あなたを支え、
良き道を示して下さるからと言うのです。
もう一つ、この言葉で大切な点は、思い煩わないために「守る」べきものは「あ
なたの心と考え」だという点です。旧約聖書の箴言にある「何を守るよりも、自
分の心を守れ。そこに命の源がある」という教えに通じます。即ち、私たちの心
は壊れやすいものだということであり、生きようとする力や活力の源は心にある
のだと。だからこそ、神様は私たちの心と考え(=原文では理性)を守ろうとし
て下さるのです。神様に自分の思いや願いをそのまま打ち明ける時に「あらゆる
人知を超える神の平和」が私たちの心と考えを守ってくれます。それは、神様か
ら与えられる平和=平安が私たちの心に注がれ、包まれるということなのです。
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